及川直彦のテキストのアーカイブ

及川直彦が書いたテキストと興味を持ったテキストのアーカイブ

「明白すぎる非連続性のジレンマ」

一利用者としてChatGPTを使っていると、その技術的な進化の早さ、そしてそれがもたらす利用者の知覚価値の進化の早さに感動すら感じます。

そんな「技術的な進化の早さ and/or 非連続性→利用者への提供価値の進化の早さ and/or 非連続性」が、ChatGPTを提供するOpen AIの事業価値を高めはするものの、ChatGPTを採用・活用して競合他社に対して差別化を狙おうとするプレイヤーにとっては、「利用者への提供価値の進化の早さが明白→多くのプレイヤーが高いUrgencyで取り組む→プレイヤー間の参入タイミングの差が少ない→プレイヤー間の差別化がしにくい」という状況をもたらしているように思われます。

このような状況を、過去の経営学で誰かモデルにしていましたっけ?

例えば「ブルーオーシャン戦略」における「レッドオーシャン」の概念は、「その結果としてプレイヤー間の差別化がしにくい」という部分については一応説明しています。
しかし、今起きている状況のポイントは、一般的に言われる「技術的な進化の早さ and/or 非連続性」が高ければ高いほどそれを採用・活用しようとするプレイヤーに対して差別化の機会をもたらす」という考え方に対して、「技術的な進化の早さ and/or 非連続性の高さ」がある閾値を超えると、多くのプレイヤーにとって差別化の機会をもたらすことが明白になるため、競争するプレイヤー間で採用・活用のタイミングに差が少なくなってしまい、それゆえかえって差別化の機会がもたらされにくくなるという逆U字の効果が起きることかと思います。

この「技術的な進化の早さ and/or 非連続性→差別化の機会」がある閾値を境に逆U字になるというモデル、私が「明白すぎる非連続性のジレンマ」と名付けて提唱します。